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「噛めない入れ歯」の悪影響

 入れ歯の安定材や裏装材の使用と噛み合わせ

「噛めない入れ歯」を入れ歯安定材などを使用する事によって、一時的に外れにくくしている事が、どのような悪影響を及ぼしているのかをご説明します。

 義歯安定材や裏装材などを使用して”よく噛める様になった”という宣伝をTVでしばしば見かけます。この場合、入れ歯が接着効果で一時的に外れにくくなった事に満足しているものと思われます。

しかし、これら入れ歯安定材や裏装材の使用が、顎骨や口腔にどのような悪影響を及ぼしているのかにほとんどの人は気づいていません。

 

 米国の著名な補綴(入れ歯など)専門医であるオハイオ州立大学のWoelfel JB教授は、専門誌(J Am Dent Asso 71:25-34)に「義歯裏装材によって惹起された骨吸収」というケースレポートを1965年に報告し、警鐘をならしました。今からおよそ40年も前のことです。その内容は次の通りです。
 ある患者が入れ歯のフィットが悪くなる度にスーパーで購入した裏装材を長年使っていました。歯科医から治療の必要性を説明されても、裏装材の使用にやや不便を感じる以外はまったく無関心でした。
 ある日、歯科医院で受けたレントゲン写真で著しい顎骨の吸収像(下顎骨の高さは約5mm)を見せられ、ようやくきちんとした入れ歯治療を受けようと考えるに至った。


 

 不都合な入れ歯を、接着剤を介して一時的に安定させ長期に使用し続けると、噛み合わせが変化し、顎の位置が偏位し、顎骨の吸収や顎関節の異常などを引き起こす場合があるという事です。


総入れ歯11
著しく吸収してしまった上下顎骨

入れ歯の安定材や裏装材を自己判断で不適切に長期使用した場合の有害な影響については、

・    顎骨の著しい吸収を惹起する。
・    噛み合わせの位置関係や噛み合わせの高さ(咬合高径)を病的に変化させる。
・    衛生状態が悪化する。
・    安定材や裏装材がクッションとなって、噛んでも十分な力が発揮されない。

等の報告のほか、

・    発癌性 (口腔外科雑誌 1985年)
・    細胞毒性 (補綴誌 2001年)

等の報告もあります。

 入れ歯の安定材や裏装材の使用に関して、「日本補綴歯科学会のガイドライン 2008年」によると、

 『まったく否定的に捉えるよりも、超高齢社会の現在ではその適応を考えるべきであり、歯科医師の管理のもとでの短期間の使用が好ましいと考えられ、定期的なメンテナンスも必要である』などと記載されています。

 しかし、歯科医師の管理下で短期使用するとしても、ご飯が食べられないと新しく噛める入れ歯を再製作しない限り、結局長期に使用する事になると解釈しますが、ガイドラインには新しい入れ歯の製作や治療を推奨する等解決策は書かれていません。一体どうすればいいのでしょう?

「短期使用して暫く使わず不自由を我慢する」を繰り返すのでしょうか?
おかしな話しです。

 当専門外来「スウェーデン入れ歯・インプラントセンター」は、入れ歯安定材や裏装材で対応していらっしゃる方々に対して、はっきりと新しい入れ歯治療を受け、噛み合わせの再構成をお奨めします。

 そしてぴったりフィットの入れ歯で美味しくご飯を食べる、はっきり話せる、大きな口を開けて大笑いできる」もとより、しっかりした体幹重心で転倒防止をし、健康寿命を伸ばしましょう!

 

牧平清超、二川浩樹、西村春樹、西村正宏、村田比呂司、貞森紳丞、石田和寛、山城啓文、金辰、江草宏、福島整、浜田泰三「義歯安定剤 (材) 溶出液がヒト歯肉線維芽細胞に与える影響 (PDF)」 、『日本補綴歯科学会雑誌』第45巻第3号、日本補綴歯科学会、2001年6月、 403-411頁
岡達、牧弥寿夫、金田敏郎、田口望「市販の軟性義歯接着剤 (いわゆる義歯安定剤) の誤用により発症したと思われる口底部扁平上皮癌の一例 (PDF)」 、『日本口腔科学会雑誌』第34巻第1号、日本口腔科学会、1985年1月、 245-249頁、
 総入れ歯(噛み合わせの再構成)

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